ペナンの真珠  2018年10月18日号掲載

コラム

ジョージタウンとは
 2008年に世界遺産に登録されたペナン島の中心の町で、18世紀末〜20世紀前半に英国東インド会社がジャングルを切り開いてつくり移民が開拓し発展してきた港町。中国、インド、マレー、ヨーロッパの様々な民族が何世紀にもわたって共存してきた独自の文化が息づいている。海のシルクロード・マラッカ海峡の寄港地として歴史的にも重要な役割をしてきた。今では、異国情緒ある古い街並みが残る中、お土産屋さんやローカルフードのお店等が並び、世界中からの観光客で賑わう観光スポットともなっている町。

アルメニア通り “じゃらんじゃらん”
 ジョージタウンは1日あれば主要なところは歩きまわれるくらいの広さ(東京上野公園の約5倍)。今回は私の好きな通りアルメリア通りとその界隈のご紹介です。昔アルメリア人の貿易商が多く住んでいたそうで、コンパクトにまとまった250mくらいの通りで、観光スポット、お土産屋さん、レストランなど並び、観光客に人気。小綺麗なカフェはあちこちにあるので、疲れたらちょっと休むこともでき歩きやすく、異国情緒ある古い歴史の街並みもたのしめます。治安は比較的よく慎重派の私にもこの通りは安心して歩けます。ジョージタウンの道は舗装されていますがデコボコがあり、何かにつまずかないか、上から水などたれてこないか、突然何かでてこないか等、360度に気を配り歩くことも多くちょっとしたスリルと冒険を楽しんでいます。靴は履きなれたもの、車やバイクの交通量が激しいのでマスクなどあると便利です。もちろんここは南国、暑いので帽子と水分補給は忘れずに。

The Sun Yat Sen Museum Penang
 連なるショップハウス(*)前のファイブ・フット・ウエイ(アーケード状共用の通路)を歩いていると突然左側のドアが開きウェルカームという声。入っていく人々につられて私もつい中へ。ここは何?とスタッフに聞いてみると「孫文ペナン基地記念館」で、アジアで最初の民主主義革命「辛亥革命」(1911年)に向け一翼を担った屋敷。ここを活動拠点に革命家の孫文は資金づくりの会議や新聞発行などに尽力していたそうです。たくさんの資料や写真、孫文の逃げ道マップなども飾ってありリアルな歴史の一編を観じます。中国映画「孫文—100年先を見た男—」の紹介ビデオが上映されていました。革命前夜、亡命先のペナンが舞台。国際感覚に優れ遥か未来を見通す先見性を持ち、類まれなリーダーシップをとった孫文の中華民国誕生までの激動の一年を描いた作品です。孫文の時代の100年先の未来にいる私たち。孫文はどんな未来を見ていたのでしょうか。孫文の思想の中心は「人が人らしく生きること」であったそうです。現代、孫文だったらどんな革命をおこすのかなぁ。。。
*ショップハウス: 間口(5m)が狭く奥行き(約50m)が広い家で複数の家が横につながった2階だて長屋形式。中庭があり上は空に向かって開いている。建物の正面が表通りに、裏口が裏通りに面している。
・入館料:大人RM5 学生RM3 月曜休館

Batik Painting Museum Penang
 1950年にバティックをペナンで始めた人が6カ国から集めたバティック絵画約100点の個人コレクション。日本人アーティストの作品もありました。3階までギャラリーになっていて、イスに座ってゆっくり鑑賞ができる。ショップハウスのつくりで中庭に降りそそぐ光が心地よい静かな空間、古き良き時代を彷彿させる美術館でした。ろうを使って作品が描かれていく工程をビデオで観賞できる。昔使われていた道具(チャンティン)等も展示してありバティックに興味がある方は一度訪れるといいです。
・入場料:RM10 (学生RM5)
 隣のアチェ通りにはモスクがあり、祈りの時間はアザーン(礼拝への呼びかけ)がスピーカーで流れ異国情緒たっぷり。ジョージタウンにはヒンズー教寺院、イスラム教モスク、仏教寺院が同じ通りに隣接するところもあり異文化共存の光景にはびっくり。互いを尊重することを学んだ歴史、人々の営みには、日本人の私には想像のつかない叡智があるのだろうなと思います。

元気なペナン —活躍する人々—
 2030年に先進国入りをめざしているマレーシアですが、日本と同じような様々な社会問題も増加しNGOなど一般市民の活躍もよく地元新聞に掲載されます。観光客で賑わうジョージタウン、その傍に貧しい人々に食料の無料配給があり、人々が並びご飯をたべている様子を時々見かけます。また放課後、貧しい子供達に勉強を教えるNGO運営の教室も活気あるそうです。
 ペナン島の経済開発がますます進行する中、交通渋滞を緩和するためペナンヒル(中央の山)の部分にハイウエイを建設予定、又埋め立地を増やしレジャー施設にする等の計画があります。クー・サルマさんは、2つのNGO(Penang Heritage Trust(PHT)、Penang Forum)で活動中。環境破壊からペナンの自然や文化遺産を守り持続可能な開発を目指しています。最近は大きなクルー船でやってくる短期滞在の大量の観光客が街を汚していくので、長く滞在する文化的滞在の観光を望んでいるそうです。活動メンバーも増えてきているそうで、少しずつでも人々の意識が変わっていけばと願って活動しているそうです。クー・サルマさんは*プラナカンだそうです。プラナカンの人と出会いたいと思っていたのでうれしかったです。生き生きと活躍する現代のプラナカン、素敵です。

プラナカン文化 —異文化融合で花咲く—
 19世紀末〜20世紀始め 中国からやってきた中国人たちの子孫を プラナカン(その土地で生まれた子という意味)と呼び、(華人の男性とマレー人の女性が結婚してうまれた男性をババ、女性をニョニャという)当時マラッカ海峡はアジアとヨーロッパを結ぶ貿易の通商拠点(マラッカ、ペナン、シンガポール)でもあったことで、ヨーロパ、中国、マレーの混ざった豪華絢爛な文化が繁栄。プラナカンは高い美意識を持ち、東西の珍しいもの美しいものを集め、組み合わせて新しいものを生み出した創造的な人々であったそうです。パステルカラーのタイルや食器、ビーズのサンダル、衣装のクバヤやサロン、ニョニャ料理、華やかで美しいプラナカンの世界はいまだに多くの人々をひきつけます。また、プラナカンの貿易商人は外交手腕にたけていて英蘭の東インド会社と手をくみ政治、経済の舞台裏で活躍、東南アジアのグローバル化にも一役かったといわれています。(参考:プラナカン東南アジアを動かす謎の民 太田泰彦著 日本経済新聞出版社)
 ハーフの子供は遺伝子が目覚めるのかパワーが違うと聞いたことがありますが、混合文化のプラナカンもスペシャルパワーで時代を導いてきたのでしょうか。飛行機でちょっと何処へでも行き、住んだりもできる、グローバルな現代、異文化のいいもの、美しいものが融合し、変容し、プラナカンのようにパワフルで生き生きとした文化が目覚める可能性があるのでは。しかし、文化は人が生きる営み、暮らしの中に息づくもの。かなりのイノベーションが必要かも。。でも、たのもしい次世代の子どもたちもいます。ユニークで、明るい、ゆたかな文化、持続可能な地球社会の潮流が生まれるかもしれない!とビジョンするとたのしくなります。プラナカンの歴史は私たち未来の可能性へヒントを届けてくれます。

 世界遺産といいつつ、観光客にあふれ、お土産屋さんいっぱいのジョージタウンにはちょっと残念に思っていましたが、‘じゃらんじゃらん’とゆっくり歩くと、まだまだ玉手箱のようなところです。カメの背中に玉手箱かな。いろんなことを教えてくれるペナン島ジョージタウン、ありがとうー!

PS.ジョージタウンのお散歩は朝がおすすめ。気持ちいいですよー (^0^)


筆者から
 昨年9月、20年ぶりにマレーシアにやってきました。前回はKLに滞在していましたが、今回はペナン島に住むことに。まず、KLの近代化にはとっても驚きました。まるで東京の都心のようです。マレーシアが大好きだった理由、忘れていた「心地よさ」を思い出しました。さて、ペナン島も予想外に都会でびっくりでしたが、ジョージタウンなど街中であっても、熱帯雨林の木々、とくに長老の大樹がとても美しく、野生の輝く生命力には見とれてしまうほどです。新しい出会いと発見を楽しみに、ペナンからフレッシュな情報をお届けします。お楽しみに!(by ペナンの真珠)


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ここからアルメニア通り。
アルメニアンストリートヘリテジホテル前、公園の左側。
小さな公園にはベンチもあり木陰で休憩できる

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孫文のペナン基地記念館(The Sun Yat Sen Museum Penang)
中国の革命に一翼を担った場所

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美しく歴史ある南洋のお屋敷(ショップハウス)も見応えがあります。
無料のお茶も用意されていてゆっくりできます

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イギリス統治時代に作られた洋風な街並み。
緑多く静かな雰囲気。
この辺おしゃれでレトロなレストランやカフェが沢山

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ボントン・ザ・ショップ(BON TON THE SHOP)
マレーシアのアーティストの物からアジア小物等おしゃれな雑貨屋さん。
お土産選びがたのしい!
年中無休10時 —19時

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スウィーツのカフェ 92 ARMENIAN と経営者リーさん。
エッグタルトがおいしかった!ツバメの巣のおやつもあります

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十字路の右はChoo Chay Keong Temple 中国系の色鮮やかなお寺。
左方面にいくと公衆トイレがあります。アルメニア通りは直進

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路上の手編みのバック屋さん(40~60R)
それぞれバックには海、子供時代の思い出等のテーマがあるそう。
手づくりは温かさがありますね〜。
ペナン島に旅してきた若者の即興のお店

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ベジタリアンのレストラン Yun Shan Ge Vegetarian House。
ラクサ、ナツメグジュースがおいしかったです。
近頃ペナンでも健康食&自然食ブーム

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バティックの美術館
Batik Painting Museum Penang

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ノスタルジックな壁画アート「自転車にのる子供」は人気の写真スポット
(アルメニア通りの端、ビーチ通りにつきあたる辺り)

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クー・サルマさん。
ご主人の経営するオープンしたてのアチェ通りの本屋さん「ARECA BOOKS」にて。
マレーシアやペナンの歴史、環境、アート等が中心。
自然素材のクリーム等小物の販売コーナーも有り

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美しいプラナカンのタイルは街のあちこちに

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ブルー・マンション:(Cheong Gatt Tze Mantion)
大富豪の築いた風水を極めた美しい屋敷は現在ホテル。
鮮やかなインディゴブルーは自然の色から抽出。
年中無休。
見学ツアー(16R)参加かレストラン利用で入場できる