Kuma  2018年8月16日号掲載

コラム  南国新聞読者の皆さん、こんにちは。今まで連載の機会をいただいてから、遂に留学を終えてから帰国する日々について総括をする運びとなりました。振り返れば2017年8月31日号に初稿を掲載いただいてから、ほぼ一年間の長期連載の機会をいただいたことになります。これまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。

自宅付近で新LRTが開通するも・・・
 前回の寄稿を一部再掲する形となりますが、妻子が先に日本へ帰ったのは2015年3月、それからワタクシが同年7月末に日本へ帰るまでの4か月間は、久々の“独身”生活を送ることになりました。
 何せ最後の期末試験が終わってからというもの、「たぶん単位は取得できているだろう。」との思いはありつつも、何となく結果が出るまで落ち着かない日々を過ごしてましたね。フルタイム学生の仲間たちは次々と第二の人生に一足先に居なくなるし、パートタイムの学生に至っては新学期の勉強で大忙し、、、かくいう自分はというと気晴らしの雑談に付き合ってくれる家族はもう居ないしといった有様でした。
 それでも出来るだけ見聞を広めたいと可能な限りは何処にでも出かけていましたね。帰国直前期には愛車のMyviも売っちゃったので気軽な外出は出来なくなりましたが、時同じくして、ちょうど自宅付近で新LRTが開通し、KLまで行きやすくなっていました。実は、このLRT、予定ではもっと早く開通すると聞いて期待してたんです。我が家では夫と息子、二人の“留学生”がいる中で、必死になってマレーシア生活を支え、家族の絆を保ってくれていた功労者、それは紛れもなく妻でした。せめて滞在中にLRTが開通してくれていたら、もう少し妻の生活で気晴らしの機会も多くなっただろうと思うと残念でしたね。

野良猫たちとのアンニュイな日々
 そんなオッサンの寂寥感を紛らわせてくれていたのは、自宅のあるコンドミニアムの真向かいの商店街に潜む野良猫たちでした。一人でレストランで食事を重ねるうちに、ある一匹と“顔見知り”になり、また一匹、そしてさらに一匹と、最後にワタクシは4匹の野良猫に一日2回のオヤツを与える“主”になっていました。野良猫に餌付けをすることには賛否両論があろうかと思いますが、その時は、持ちつ持たれつの関係でしたね。4匹とも性格が見事に違っていたので、触れ合っているととても面白かったですね。そして夕涼みで地べたに一緒にしゃがみ込んでは、「ああ、こんなに現地化しちゃった自分は日本なんかで適応できるんだろうか。自分が居なくなった後は、この子(ネコ)達は、元気にやっていけるんだろうか。」そんなことを悶々と考えてましたね。

遂に結果が届いた
 そんな日々を過ごしていた頃、遂に学校から呼び出しの連絡がありました。学生課に行くと、授業料のデポジットの返金手続きやら何やら一通り説明されたあと、一枚の通知が・・・「はい、おめでとう。無事修了したわよ。これでKumaもマスター・ホルダー(大学院修了生)ね。」と担当女性から祝福の言葉が!振り返れば海外留学をして学位を取得すること、、、それはマレーシア渡航を決めた動機やら、経営学やMM2Hへの関心やら、そういった諸々のことよりも、遥か昔の子どもの頃からの夢であったようにも思います。別に海外の大学院をこんな歳で修了したからと言って、出世する訳でも、社会的に成功できる訳でもありません。それに家族との時間と財産をも犠牲にしてしまいました。その意味では、夫として、父親として失格だったかもしれません。
 文字通り誰のためでもなく自分自身のため、どうしても手に入れたいマイルストーンでした。半ば諦めかけていた自身の最終学位が約20年ぶりに更新されたという現実に手に入れた恍惚感、それは経験した者にしかわかり得ないものでした。
 そして学内では、久々のワタクシの登校を聞きつけたパートタイム学生の仲間たちが、かけつけてくれて昼食を一緒に取りながら祝福をしてくれました。あんなに出来が悪かった自分が、フルタイム学生だったために、彼らよりも先に修了出来て、祝福されたり、羨ましがられてるという現実が何だか不思議な感覚でしたね。そんな彼らは、最後にKLIA空港から出発する日まで様々なフォローをしてくれて、見送りまでしてくれましたね。周囲から見ると、ワタクシだけはオッサンだったんでしょうけど、心の中では完全に“青春の日々”でしたね。まあ自分で自分の顔は見れないですしね(笑)。
 こんなワタクシの留学生活を修了まで支えてくださった日本の職場の方々、マレーシアで出会い、お世話をしてくださった皆様、そして大切な家族に感謝を捧げます。


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やっと開通したLRT

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それぞれの猫たちとの距離感が良い

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この子にはよく晩酌を付き合ってもらった

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修了証書の受理を祝ってくれた仲間

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深夜出発の便なのに空港見送りをしてくれた仲間