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K・K  2018年2月15日号掲載

 

マレーシアの人々ためにできることを、一歩ずつ
~日本人女性 浅野波留奈さんの活躍とこれから~

ピックアップ  日本企業の敏腕マーケティング担当を経て、東京国際映画祭やフランス映画祭の運営に携わっていた華やかな経歴を持つ浅野波留奈さん。マレーシア政府の推進するThe Volunteering for International Professionals (VIP)のフェローに選ばれ、その活動期間に、確かな成果を挙げる。VIPプログラムを通して、多くの出会い、気付きを得た波留奈さんは、今後もマレーシアの人々とともに歩むことを決意。新たなサポート&ビジネスプランを胸に、新たな一歩を踏み出した。

波留奈さんのこれまで
 前述の通り、映画祭の運営に携わっていた経験を持つ波留奈さん。その後独立し起業するも、ビジネスは東日本大震災の影響を受け、2014年まで踏ん張るも志半ばでとん挫。再就職を試みる。ところが、「日本では40代の女性が経験を生かせる職に就くのは非常に難しい」ことを実感。「ましてや、私は個人事業主という経歴を有しています。こういう経歴は厄介だと思います」。年齢・性別に関わらず、チャレンジングな仕事に就くなら海外しかないと、欧米、アジア諸国の状況を丹念に調査。「東南アジアが面白い!」と判断、ビジネス上の主な言語が英語であるマレーシアへの挑戦を決める。2015年に来馬後、日系企業の現地店舗開設に携わるなど、持ち前の調査分析能力、バイタリティを発揮し活躍、着実に成果を挙げる。
 そんな中、「自分の能力を生かし、かつ自身をブラッシュアップでき、さらにはマレーシアに貢献できる仕事はないか」と考え始めた波留奈さんは、友人を介してVIPプログラムの存在を知る。世界各国における医師、看護師、エンジニアらなどが、能力や資格をマレーシア社会のために役立てるボランティアプログラムで、波留奈さんは“マーケティングならびにビジネス”能力を発揮する場として、VIPに参加することを決意。2017年、当地で知り合ったサポート企業とともに、様々な問題に直面するオランアスリ村を、継続的に経済支援するプログラムをスタートさせる。

VIPでの成果とは
 セランゴール州ならびに近郊に位置する3つのオランアスリ村での現地調査、およびヒアリングを踏まえ、安定的かつ継続的な収入を村にもたらすための農業支援を行うことを決めるVIPチーム。フェローである波留奈さんとサポート企業との二人三脚で、アクアポニックスシステムの導入・設置に尽力する。大変だったことは?との問いに、「村の皆さんとのコミュニケーションに最も苦労しました」と振り返る。オランアスリ村で用いられる言語は、マレー語ともやや異なる。そのため、現地で英語、マレー語を理解する世話人となる方を窓口に、すべてが進行する。根気を要する作業の連続だったという。また、波留奈さんとタグを組むサポート企業とのやり取りにおいても、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)を期待できる環境には遠く、現地フォローアップも当初の打ち合わせ通りには進まず、大いに期待する村の皆さんの信頼に影響するような出来事も起きかねない状況で、プロジェクト進行のための苦労は絶えませんでした」。この当地サポート企業とフェロー間の問題は波留奈さんに限ったものではない。海外から訪れるフェローの誰もが経験する大きな壁で、プロジェクトの進行がはかどらず、成果を出せないまま活動期間を終える、または中途で挫折して本国へ帰国する例も後を絶たないという。幸いにも波留奈さんは、2017年12月、無事に活動期間中に水耕栽培導入を遂行、成果を挙げるに至った。

村の人々との親交を通して、新たなプラン〜女性とともに、女性のために〜
 VIPでの活動期間、オランアスリ村の女性たちとの親交を深めるうちに、波留奈さんにふと疑問が湧く。「村の女性の皆さんは、月経期間中のケアはどうしておられるのだろう」。普段からバティックの布を身にまとう村の女性たちは、期間中は使い古したバティック生地を重ねてケアに用いるのだという。昨今、日本を含む世界各地で布製ケア商品(紙ナプキンに代わる品)に注目が集まっている。エコで、ごみの量を減らせることはもちろん、長い目で見るとコストダウンを図れ、かつ健康面でもメリットがあることから、「布回帰」への声も聴かれ始めている。また、その販売価格は結構な金額だ。
 そこで波留奈さんは、「マレーシアのバティック生地や、日本の良い素材を用いて、村の女性のみなさんに布製ケア商品を作ってもらえば、村のみなさんにとって良い収入源となるのではないか」とのアイデアを発案する。
 早速、作り方を示す絵図を準備。村を訪れ、女性のみなさんに相談、制作を勧めたところ、最初は懐疑的だったものの、2回目、3回目と訪問を重ねるうちに、リーダー役の女性がとりわけ積極的な姿勢を示し、作品の形が整ってきた。「今は手縫いで頑張ってもらっていますが、根気を要する作業は、彼らにとってなかなか大変です。サポートが得られたら、ミシンを導入することができ、より短時間に良い品を作ってもらえるようになります」と波留奈さん。「今は村のみなさんのサポートに注力します。いずれ彼らの作品が生産ラインに乗り、評判を得、ビジネス成功に繋がったら最高ですね」。

 マレーシアの人々とのふれあいを通して、マレーシアの人々とともに笑顔になれる“ウイン-ウインのビジネス”の道を歩み始めた波留奈さん。ニッチなマーケットながら、「ゼロ・ウェイスト・マレーシア」運動を進めるオーガニック団体も存在することから、マレーシアならびに日本での展開を視野に、その需要に期待する。「マレーシアでは、コットンはすべて外国からの輸入です。良い日本製を安価に仕入れることができれば。そして、当地での生産クオリティと生産性を保つこと。これらが大きな課題です」。優秀なビジネス・ウーマンとしての顔をきらりと垣間見せながら、謙虚に笑う姿が実に印象的だった。




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アクアポニックス設備が村に到着!

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アクアポニックス設備が到着!説明に耳を傾ける若者たち

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村に設置されたアクアポニックス装置

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野菜の芽が出ました!喜びの瞬間です

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女性たちに手縫いの仕方をアドバイスする波留奈さん(左)

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型紙と絵図を示しながら、作り方を伝授する波留奈さん

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布製ケア商品の作り方を示す絵図

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オランアスリ村のリーダー役の女性が、沢山の試作品を作ってくれました

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「マレーシアらしく、質の良い布で、このようなバティック柄のものを用いることができれば」

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村への道のり。「「1つの村に到着したら、さらに次の村を目指すのですが、その行程も至難です」

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目を輝かせて、波留奈さん一行の到着を迎える女の子

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村を訪れた際、仲間の皆と就寝します

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オランアスリビレッジには、定期的に看護婦さんによる健康チェックが行われます。これもVIPプログラムの一環です

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プエルトリコからVIPプログラムに参加する医師による治療、健康診断、アドバイスも行われました

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「このドリアン。日本へ売っちゃう!?販売ルートはないかな」と意見を出し合う仲間たちと波留奈さん

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村で育てる野菜の種は、本事業に賛同してくれる皆さんからの寄付で購入。「バナナの木の苗のオーナーになりました」と笑顔を見せる、モナッシュ大学のファカルティのみなさん

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浅野波留奈氏。キャリア・ウーマン時代を経て、マレーシアの人々とともに笑顔になれるビジネスの道を歩み始めた