K・K  2018年1月18日号掲載

ピックアップ  突然ですが。「大切な家族、親しい友人とともに、気兼ねなく楽しく食事をしたい!」と思ったら、まずは“ホームパーティ”を思い浮かべることでしょう。慣れないキッチンでの料理はなかなか難しいもの。そのため、互いに料理を持ちあうポットラック式が一般的ではないでしょうか?「シェフを招いてのパーティなど、夢のまた夢・・・」。

 そんなみなさまに朗報です!麺棒一本を手に、世界中の人々を、うどんの美味しさと自身の生き方で魅了する“旅するうどん屋”、谷村ジョン氏。彼があなたの町に滞在していたら、それは逃してはならないスーパーチャンス!ジョン氏に即連絡!日程調整が完了すれば、おうちのリビングが、うどんシェフによる本格レストランに早変わりします。

一旦は就職するも・・・手に技術を!
 ジョン氏は大学卒業後、日本の企業へ就職。ところが、「馴染まなければと努力しても、どうしても馴染めなくて・・・」と、その頃の自身を回顧します。改めてこれからの生き方を深く考え、まずは「手に技術を」と企業を退職。もとより食べること、麺が好きだったジョン氏は、うどん県として名高い香川県へ、本場さぬきうどん打ち修行に向かうことを決意、うどん職人の道を歩み始めます。「うどん打ちは奥深く、かつ、美味しいうどんを打つことが出来たときは、それを口にした人々の喜びをダイレクトに味わえます。その醍醐味は、まさに自分の求めていたことでした」。さて、自分の腕で人々を喜ばせたい、しかし常設店舗を持つのは、資金面、市場競争面で非常に難しい。ではどうしたら?

旅するうどん屋“谷村うどん”、誕生
 「うどんを知らない、日本のこともよく知らない人々に、うどんとともに日本を知ってもらう。そんなスタイルはどうだろう」。香川では、職人である店主の姓の後に“うどん”とつけ、店名にすることが一般的とか。「僕の行くところが、うどん屋“谷村うどん”。それこそが、自分に合った店舗の持ち方、かつ得意な方法だ」と、ひらめいたジョン氏。早速、麺棒を片手に、海外うどん巡業の旅に出ます。

いよいよマレーシアへ
 例えば、海外在住の日本人書家の方から「谷村うどん」と書かれた、“店の看板”をプレゼントしていただくなど、行く先々で多くのファン、サポーターを得ながら、この度、いよいよ当地マレーシアへ!
 「今回は、オーストラリアのメルボルンから参りました。翌訪問国が決まっていることもあれば、その国での出会いから次の訪問先が決まることもあります。あらかじめ訪問国で開店先が決まっていることもあれば、決まらないまま訪れることもありますよ」、と気負いなく笑うジョン氏。来馬後、SNS等で“谷村うどん”がマレーシアで開店可能なことを告知し続け、その甲斐あって、後半には次々と開店依頼が舞い込んだとのこと。幸いにも記者は、とあるご自宅での“谷村うどん”にお邪魔することができました♪

“旅するうどん屋”の鍵、それは水にあり
 基本的には訪れる先の素材を用いて、うどん屋を開店するジョン氏。さぬきうどんの材料は、小麦粉、塩、そして水のみ。比較的どの国においても入手しやすいものですが、その国の気候や材料の特徴に合わせて、それぞれの配合を変える必要が生じます。とりわけ茹で水は重要で、場合によっては茹で溶けが生じ、“うどん”にならないことも。「そのためPH測定器を持ち歩くことが欠かせません」。ところで、アルカリ度の高い水の地域に住む方々は、「茹で水に若干の酢を加えることで、ご家庭での問題を解決することができますよ」、とのアドバイスをいただきました♪

エンターテイメント、インターナショナル、体験型、かつ美味しいアトラクション
 ジョン氏が前日に仕込み、寝かせておいた生地をテーブルに乗せ、「では“谷村うどん”開店しま〜す」と、なんとも自然体、飾らない口上でうどん屋はオープン。笑顔で自身の経歴、うどん作りのポイントなどを滑らかに述べながら、手元では着実にうどんが延べられていきます。実はうどんの手打ちは手際、スピードが勝負。捏ね過ぎてはコシが出過ぎて硬くなり、延べすぎてはコシを失いのびやかな麺に仕上がりません。また、丸い生地を四角く手打ちしていく工程は、見た目からは想像もつかない難しさ。それを、気取らず、おくびにも出さず、時にみなさんを笑わせ、「へ〜、ほ〜」とうならせながら、いつの間にかうどんが仕上がっていく様子は、まさにエンターテイメント。また、言語能力に長け、世界各国を渡り歩いてきた氏ならでは、その国の環境をすんなり受け入れ、かつ様々な体験を経て得られた引き出しを開け閉めしながら、誰をも楽しませるインターナショナル性は見事の一言。さらには、生地踏み(足で踏む)、うどん切りなどを体験させてもらえ、かつ美味しい。“谷村うどん”は、単なる無店舗型レストランにあらず、最高のアトラクションであることを痛感します。

“谷村うどん”の魅力は、店主本人にあり
 前述のとおり、世界各地に家族のような数多くの友人に恵まれるジョン氏。それは、決して簡単なことでも、ましてや偶然でもありません。他人や環境のみならず、自分の長所・短所をも“受け入れる力”、柔軟性を持ちあわせ、27歳という年齢には似つかわしくないほど落ち着き、世界を飛び回りながら“大地にしっかり足をつけている”。谷村うどんの本当の魅力は、店主、谷村ジョン氏にあることがわかりました。

 この最高のアトラクション。ご自宅のみならず、レストランやポップアップ店形式などでもオープン可能とか。ジョン氏の次の来馬が、今か今かと待ち遠しいですね〜


Tanimura Udon(谷村うどん)
www.travelingudonmaker.wixsite.com/tanimuraudon




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”谷村うどん”の谷村ジョン氏。
うどんの歴史や特徴、香川県のPRなど、丁寧に説明しながらも、手元ではしっかりうどんが仕上がっていきます

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ジョン氏の説明に、大人も子どもも楽しく聴き入ります

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だんだん四角くなってきました!
これ、想像以上に難しい作業なんです

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うどんを切る見本を示してくれるジョン氏

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目をきらきらさせて、こんなに小さく可愛いお子さまもうどん切りに挑戦!

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「ここまでカッターを引き上げてごらん。ちょうど良い太さにうどんが切れるよ」と優しく子どもたちにアドバイス

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子どもたちが一生懸命切ったうどんを・・・

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ジョン氏が茹でます!
茹で水のPHが非常に重要。
事前にチェック済みです

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たっぷりの湯で茹でることもポイントの一つ

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タイミングを見て湯きり、一気に冷やします

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つやっつや、表面ツルツル!これ、手打ち直後のうどんならではの特徴です

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トッピングを加えて、ぶっかけスタイルの完成です。
マレーシアらしく、もやしが載ってます♪

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本日の”谷村うどん”レストラン。
家主さま、集まった友人のみなさま手作りのお食事も並び、豪華なうどんレストランの開店です

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うどんを振る舞いつつ、自身や谷村うどんの歩みをより詳細に披露してくれます

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うどん作りが終了し、ほっとした表情でくつろぐジョン氏。
お疲れ様でした~!

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”谷村うどん”のポータブル看板。
訪問先の日本人書家さんに書いていただいた大切なものです