K・K  2017年6月1日号掲載

ピックアップ  2017年5月13日、アセアン諸国で活躍中の日本人起業家、ビジネスリーダー140名がクアラルンプールに集結。日馬国交樹立60周年を迎える本年、WAOJEアセアン大会が開催されました。WAOJE(World Association of Overseas Japanease Entrepreneurs:旧名 和僑会)とは、海外で起業した日本人で構成される非営利組織で、2014年にはクアラルンプール支部が発足し、現在は約30名がメンバーとして活動中です。今回、この30名がホストとして奮闘、熱気溢れる大盛況な大会となりました。

基調講演はマハティール元首相
 1982年以降現在に至るまで、マレーシアの将来を担う若い世代が、実に16,000人以上も日本に留学、政財界で活躍し、日本とマレーシアの架け橋となっています。誰もが西側諸国に目を向けていた当時、周囲を制して「ルック・イースト(東方政策)」を導入したマハティール元首相が基調講演者として登壇。「アセアンで結び、創る、未来〜日本人へのメッセージ」と題し、政策実施に至る経緯や、今の日本の若者への期待について言及しました。

〜成功の秘訣は“価値観”にあり〜
 「太平洋戦争後、西側に注目が集まる中、東側では目を見張る事態が生じており、短期間で目覚ましい復興を遂げた日本の姿に感嘆した」と語り始めた元首相。「戦争時代の両国間の悲しい出来事は事実で、二度と起こさない努力を怠ってはいけない。しかしそれを声高に主張するよりも日本の回復力を学ぶべきで、学ぶ対象は文化や価値、勤勉さ、精神性にあり、それらが最高品質を生み出す基盤となっていることが分かった」。氏は幾度となく日本を訪問し、モノ作りの現場に驚嘆。多くの若者を日本の大学や企業へ送ります。現在、英国から独立した国の中で、マレーシアが抜きん出た発展を遂げることができたのは、労働倫理、意欲を日本から学んだことが大きいと振り返ります。「首相時代を通じて、あらゆる国を見た経験から言えること。それは『成功の秘訣は、価値観にある』ということだ」。

〜ぬるま湯からの脱却〜
 今の日本人に求めることとして、「より多くの起業家が来馬し、マレーシアで良いパートナーを見つけ、一層近代化を加速させ、マレーシアをよりバランスのとれた状況へ導いてほしい」。一方、「日本人は安心・安定を求め、そこから抜け出したくないという様子が伺える。世界はどんどん小さくなり、外から異文化が入り込み、受け入れざるを得ない昨今、マーケットの成長に対して行動を起こすべき時期に来ている。このチャンスを逃さず、世界の人々と良い関係を結んでほしい」。

フォーラム「マレーシアの昔と今とこれからと」
 基調講演に続いて行われたフォーラム「マレーシアの昔と今とこれからと」では、多くのデータを元とした分析結果が報告されました。その一部をご紹介しましょう。

〜マレーシアで起業する意義、それは異質な文化への適応力〜
 「生まれたときから異文化、多民族と接しているマレーシアの人々にとって、他文化圏の人々と接することや、他国へ赴任することへの抵抗はなく、また、英語と中国語を両方話せる人が50%以上という国は、他には例をみないため、アジア各国を視野に入れた事業展開を計画する際、マレーシアで起業する意義は大きいでしょう」。

〜日本は憧れの国、クールでカッコイイ国は?〜
 「1999年頃、日本語を学ぶ人々の目的は、日系企業で働きより多くの収入を求めることにありました。現在では他国企業で収入を得て、趣味として訪日するために学ぶ傾向にあります」と語ったのは、WAOJEクアラルンプールの西尾亜希子代表。日本を訪れることで日本食に感嘆し、その食を本国でも楽しみたいと願う人々が増えたことで、マレーシアでは今、空前の日本食ブームを迎えています。また、コミックやアニメの絶対的人気も後押しし、日本は憧れの国。ところが、映像・音楽などのコンテンツ権利を含む数々の規制が原因となり、マレーシアンが容易に楽しめるのは、今や“韓流”コンテンツ。「意識はすでに“クールコリア”へと動いています」。

 グループ対抗ビジネスコンペ、大交流会も行われるなど、盛り沢山の内容となった本大会。イベント運営が本業ではないメンバーらが、多忙な仕事の合間に準備をしたとは到底思えない完成度の高さで、本イベントは、「文化や価値、勤勉さ、精神性、それらが最高品質を生み出す基盤」とのマハティール元首相の言葉を、まさに体現していました。

 次回WAOJEアセアン大会は、2018年9月にバンコクで開催予定。「バンコクで“アオージェ”!」を合言葉に、本大会は大成功にて幕を閉じました。(K・K)




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