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南 星之助  2016年8月25日号掲載

コラム  シンガポールでの日本料理人気は、まだまだ衰えることがないようである。数年前までは各日本料理店が独立して点在していたが、最近はシンガポールのローカルフードのホーカーセンターさながらに、和食レストランが集合するフードコートも登場し、日本料理が地元客にとってさらに身近なものになってきた感がある。

 そんな中で7月、中心部オーチャード・ロードのショッピングモール「ウィスマ・アトリア」にジャパン・フード・タウン(Japan Food Town)にオープンした。もともとフードコートやレストランがある4階のフロアの一角を、和食の専門店街が占めることになったのだ。

日本で展開する専門店16軒
 入居するのはラーメン、しゃぶしゃぶ、焼肉、天ぷら、寿司、とんかつ、鍋料理、うどん、そば、鉄板焼、唐揚げ、北海道料理など日本で展開する専門店16軒。中でも個人的に注目したのは、脂がたっぷりのった真さば“とろさば”料理の専門店SABAR。シンガポールではすでに日本料理店や韓国料理店でサバの塩焼きなどがあり、英語名MackerelではなくSabaで通用するほど地元客に親しまれている。日本発のこだわりのサバがシンガポール人の胃袋をつかみ、サーモンやマグロのような人気シーフードになる日がくるか? サバは傷みやすく新鮮さを保つのが難しい魚といわれるだけに、日本の優れた冷凍・運送技術の見せ所でもあろう。 ジャパン・フード・タウンの目玉

 さらにこのジャパン・フード・タウンの目玉といえるのが、獺祭バー。日本酒「獺祭」はシンガポールでも人気で、日本酒ファンにとっては1杯90mlで170Sドル(約1万3000円)、720mlボトル1本1100Sドル(約8万6000円)の「獺祭磨きその先へ」を飲むのがステータスになりそうである。

 このジャパン・フード・タウンのように、いろいろな日本料理を集合させてフードコートをつくることができるのは、やはり日本料理ならではの専門性、多様性があるからこそ。日本の食文化の奥深さをあなどってはいけないと感じる。しかし一方で、世界的な日本料理ブームのせいか、シンガポールでもあまりに日本料理をはじめ日本文化があちらこちらに増えすぎているのではと思うこともある。地元の人たちが日本料理や文化に対して食傷気味になって、飽きられてしまうのではないかと、心配になったりもするのである。


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ウィスマアトリアにオープンしたジャパン・フード・タウン

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ジャパン・フード・タウンの「顔」のように入口に店を構える獺祭バー

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とろさば料理専門店SABARのとろさば焼き定食25Sドル(約1950円、税抜き)。
全長38センチのとろさばということだったが、
丸ごとではなく半身で、期待していたよりも肉が薄かった