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南 星之助  2016年8月18日号掲載

コラム  世界各国の料理が揃う「美食のスクランブル交差点」シンガポールで、今、ベトナム料理が注目を集めている。近隣の東南アジアの料理が今さらなぜ?という感じがしないではないが、最近一気にベトナム料理店が増えてきた。

 これまでシンガポールでベトナム料理が知られたエリアというと、中心部よりやや東へ外れたジューチャット・ロード(Joo Chiat Road)界隈だった。そのエリアには、ベトナム人ホステスが接客をするバーが軒を連ね、ベトナム料理店も多い。これらの店は「ローカル食堂」であるのに対し、最近は中心部のショッピングセンターの中にあり、洗練されたおしゃれな雰囲気のレストランが増えているのだ。

 ジューチャット・ロードの食堂でも、中心部のレストランでもおなじみの牛肉入り米麺フォーや、生春巻きなどを楽しめる。しかし、中心部のベトナム料理店はその多様な客層に対応すべく、かなり思い切ったアレンジがしてあったりする。例えば、和牛を使った20Sドルもする高価なフォーなど、ベトナム人が見たら庶民の朝食であるはずのフォーの変貌にさぞ驚くのではないかと思う。ちなみにベトナムでは、フォーは3万~6万ドン(約1.5Sドル~3Sドル)ほどなのが、シンガポールではだいたい7~10Sドル以上はする。バインミー(ベトナム式サンドイッチ)はベトナムだと1万ドンくらいからあるが、シンガポールでは6Sドルくらいとなる。

 あくまで筆者の経験だが、シンガポールで本場に近いベトナム料理を望むなら、現在のところ、中心部のショッピングセンターにある店よりも、やや外れたエリアを探した方がいいかもしれない。ジューチャット・ロードもいいけれど、そこまでディープでなくてもという方におすすめなのが、MRTブギス駅から歩いて15分ほどのビーチ・ロード沿いにあるミセス・フォー(Mrs. Pho)。ベトナムの店をそのまま持ってきたような雰囲気の店で、料理も本格的。シンガポールでは、ベトナム南部のホーチミン市などで見られるスタイルの香菜を入れて食べる甘口スープのフォーが多いが、ミセス・フォーでは、ベトナム北部ハノイのスタイルのシンプルなフォーが楽しめる。フォーはベトナムではハノイが本場とされている料理だ。

 それにしてもベトナム料理が今なぜシンガポールで注目されはじめたのだろう。世界各国の料理が集まり、また東南アジアのタイやマレーシア、インドネシア料理がすでに定着している中で、ベトナム料理が意外にも新鮮であり、ローカルの胃袋を捉えたのだろうか。灯台下暗しというのは、どうやら料理にも当てはまるようである。近い将来、ミャンマー料理やラオス料理がブームとなる時がくるかもしれない。


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Mrs .Phoのフォー・ボー・タイ(薄切り牛肉入りフォー)。
ベトナムにあるような店そのままの雰囲気。
店の詳細はウェブサイトwww.mrspho.comで確認を

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ショッピングモール内にあり、チェーン展開するベトナム料理店。
洒落たカフェのような店だ