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Mika Yatsuchi  2015年1月8日号掲載

ピックアップ  今回のゲストは、WVC TRiO+1のリーダーであり、作曲家でもあるTayさん。ジャズファンの間では、言わずと知れたマレーシアを代表するジャズピアニスト。国内外のツアーやブキビンタンの「No Black Tie」で定期的にライブを開催しています。

ピアノとの出会い
 マラッカで4人兄弟の長男として生まれる。ピアノを始めたのは6歳のとき。両親の勧めで兄弟と一緒にピアノを習い始めた。当初は練習ばかりさせられるピアノは好きではなく、後にピアニストとして活躍するなど夢にも思っていなかった。「学校の授業は嫌いでしたね。けれど、本を読むことが大好きで、暇ができるといつも図書館に通っていました。将来は、文章を書く仕事に就きたいと考えていたくらいです」と、昔を振り返る。
 中学生の頃、担任の先生から合唱コンクールのピアノ担当に抜擢される。これが大勢の人の前で演奏するはじめての機会となった。「最初は、気が進みませんでしたが、ピアノが弾けることで、女の子たちと仲良くなるなれることが嬉しくて。ピアノが好きになったきっかけは単純ですね」。
 ジャズに出会ったのは高校生の頃。音楽に興味がわき、いろんなジャンルの曲を聴くようになった。中でも日本人ピアニスト・西村由紀江さんの演奏が、ピアノに対するイメージを変えた。これまで習ってきたクラシック音楽はただ楽譜を見て演奏するもの。しかし、ジャズは自分の好きなようにアレンジし、自身で曲を自由に創り出し、演奏することができる。そこが、ジャズの最大の魅力であり面白さだと知った。

ジャズピアニストへの歩み
 高校をでてクアラルンプール(KL)の音楽大学に入学するが、講義中心の授業に面白さを感じず中退。もちろん、親の心配や反対を押し切っての決断。しかし、迷いはなかった。
 お金を稼ぐため、ゲンティンハイランドのカジノバーでピアニストとしてデビューし、ひたすらピアノを弾き続けた。音楽に関する原稿執筆やいくつもバイトを掛け持ちし、多忙な日々を送っていた。
 2001年、運命的な出会いをする。アメリカのウェストバージニア大学の教授が、KLでコンサートを開催。会場に足を運んでいたことがきっかけで恩師に出会い、ジャズの本場アメリカへ渡ることを決意した。
 同大学の音楽科で5年間、音楽の基礎から曲づくりにわたる知識や経験を習得した。「アメリカではジャズの基盤を学びました。それがあって、今の僕たちが作るジャズのかたちがあるのだと思います」。多くのことを吸収し、貴重な人生経験を積んで、2006年に帰国する。

ジャズユニット「WVC TRiO+1」を結成
 帰国後、「WVC TRiO+1」を立ち上げる。グループ名は、ウェストバージニアからとっている。ピアノ、ドラム、ベース、サックスの4名から成るグループ。
 「いい音楽は、チームのこころが通っていないと作れない。だから、僕はメンバーを兄弟のように思って接しています。チームの雰囲気を保つのはリーダーとして、また兄貴分として大切な役割だと思う」と、メンバーに対する思いを語る。
 現在、台湾やシンガポール、マカオ、インド、日本、エジプトなどおよそ23カ国を訪問し、ライブを行っている。1カ月で17都市を回る強硬なスケジュールをこなすこともあるという。メンバーと寝起きを共にしながら四六時中一緒にいると、ぎくしゃくすることも時にはある。しかし、「その場をうまく解消するのが、兄貴分として采配の見せ所だ」と話す。

曲作りへの思い
 「音楽というのは、ひとつのイメージです。僕たちが創り出す音楽には、映画や小説のようにストーリーがあります。これまでの人生経験から感じたことや得たことを曲の中に描いています。曲を聴いた人が、その曲の中に自身のストーリーを添えて楽しめるようなイメージ(音楽)を提供したいですね」と、音楽への思いを語る。
 数年前に奥様と出会い、かけがえのない家族を得た。「家族ができてからは、仕事ばかりするということが減りました。家族と過ごす時間を持つことは、こころを豊かにし、新しい曲をつくる原動力にもなります。曲づくりは、人生そのものです。また、多彩な芸術や文化に触れ、感性を豊かにすることも大切なので、好奇心はいつも旺盛です」。今後も国内外でのツアーやライブを通して、「ジャズの魅力をもっとたくさんの人に伝えていきたい」と、タイさんは語る。

プロフィール
一番大切な仕事道具
ピアノ
好きな言葉
「絆」「縁」
日常心がけていることは
いつもポジティブであること
息抜き方法
読書(村上春樹の大ファン)、水泳、映画鑑賞、家族とのんびり過ごす
ウェブサイト
http://wvctrioplusone.com/




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Tay Cher Siangさん

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Tay Cher Siangさん

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「WVC TRiO+1」のメンバー

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最新アルバム「Waiting for that day」