イザという時に役立つ応急処置



M・H 2017年9月14日号掲載

 

発熱の場合の応急処置

ピックアップ  発熱は体温が通常の上限を越える状態です。通常の体温は摂氏36.5度から摂氏37.2度の範囲で、外部環境や活動状況により変化します。発熱は体温計の数値から読み取りますが計測する部位によって変化します。直腸、耳、側頭動脈は摂氏38度以上。口内は摂氏37.8度以上。脇の下は摂氏37.5度以上です。

 発熱は一般に何らかの病状や疾病、特に感染が原因のことが多いです。上部呼吸器官感染症 (普通の風邪)が一般的です。その他には、喉のバクテリア感染(連鎖球菌感染症)、インフルエンザ、肺感染症(肺炎)、伝染病(デング熱、マラリアなど)、食中毒などがあげられます。発熱の危険な症状を見定めれば、重い疾患の治療の遅れを防げます。発熱した人の様子をよく観察することはとても大切です。不快感を軽くするのが自宅療養の目標で、回復が見られない時は、すぐに病院に行きましょう!

発熱したら?
 不快感をやわらげ、充分に休息を取らせます。熱を下げる対処療法だけでは原因となる疾患の症状を改善させることはできません。自宅治療のポイントは次の通りです。
◆水分補給を充分にします。
◆悪寒を抑えるため、毛布やセーターを使います。
◆ぬるま湯に浸したタオルを絞って定期的に体を拭きます。扇風機や空調も体温を一時的に下げ、不快感を軽くします。
◆軽目の衣服にします。
◆解熱剤、例えばパラセタモールなどを6時間ごとに服用します。投薬量は体重によります。医師の指示を受けて下さい。
◆発熱した人を1人にしてはいけません。病状が悪化する恐れがあるからです。2日から3日、自宅で静養しても症状が改善されない場合は病院で治療を受けましょう。
すぐに適切な治療が必要な緊急の場合
◆1歳以下の幼児の発熱
◆子どもがイライラした様子や無気力にみえるとき
◆子どもの発熱に改善の兆しが見えない
子供と大人に共通する注意すべき症状
◆口から飲食物をとれない
◆ひどい頭痛
◆首がこる
◆しつこい下痢や嘔吐
◆発作
◆意識が混乱する、強い眠気




M・H 2017年8月24日号掲載

 

火傷の応急処置

ピックアップ  火傷は熱エネルギーによって引き起こされる凝固性の皮膚の外傷です。熱源は炎、日光、沸騰した液体などです。他の原因としては電気や薬品によっても火傷が起きます。皮膚の損傷を軽減するには適切な応急処置が不可欠です。

 火傷は軽度のものから生命に危機が及ぶものまで火傷の深度と範囲で区分され、家庭やクリニックで治療できる軽い程度から救急治療が必要な重症までに区分されます。I度熱傷、II度熱傷、III度熱傷の3つに区分されます。慣れていないと、どの程度の火傷かの判断は難しいですが分かりやすい目安はあります。

I度熱傷
最も軽く皮膚の表面のみの火傷です。赤くなり、腫れて痛みがあります。
II度熱傷
皮膚のさらに深い部分にまで損傷が及びます。赤や白の水ぶくれを伴う斑点ができ、痛みと腫れもあります。
III度熱傷
損傷が皮膚のすべての層に及び、その下の筋肉、腱、骨にまで及ぶことがあります。火傷の範囲は黒焦げた色になったり白くなり、皮膚の下の器官が露出する場合もあります。体液が失われショック状態になっている可能性があります。

どうすれば良いのでしょう?
 応急処置は火傷の度合いで変わりますが基本は次の手順です。
1.火傷の原因となった熱源から遠ざけ、それ以上の悪化を防ぎます。同時にあなた自身が火傷しないよう注意します。
2.火傷した皮膚の周囲の衣服、装飾品を身につけている場合はそれも取り除きます。
3.可能な限り速やかに冷たい流水で冷やします。最低でも10分から15分間は続けます。氷で直接冷やしたり、クリームなどを塗ってはいけません。損傷を広げ、感染症のリスクがあります。
4.広範囲に及ぶ火傷の場合、火傷をした人を毛布や清潔な衣類などでくるみ暖かくします。特に子どもや高齢者の場合は体温が摂氏36度以下になる低体温症の危険性があるからです。
5.流水で充分に患部を冷やしたら清潔なプラスチック製などのフィルム状のもので患部を覆います。
6.火傷の重篤度を判断し、次の処置を決めます。明らかに重篤、またはその疑いがある場合は救急車を呼びます。
7.救援が来るのを待つ間、患者のそばに付き添い、患部の腫れが悪化しないよう背筋をまっすぐにして坐らせておきます。

 火傷の治療は複数の医療分野にまたがり、外傷の充分な手当、適切な疼痛管理、系統立った物理療法、作業療法から構成されます。そして重篤な火傷の場合は、病院のICUでの処置が必要になります。




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火傷の程度は3種類に区分されます




M・H 2017年8月17日号掲載

 

喉に異物がつまった時の応急処置

ピックアップ

軽い喉づまりの場合
 呼吸は可能で、咳き込み、会話も可能です。幼児の場合は泣き出し、周囲の言葉に反応し、大きく息を吸い込んでから激しく咳き込みます。

重い喉づまりの場合
 呼吸ができず、声も出せません。ゼーゼーという呼吸音がします。うまく咳こめません。特に幼児に顕著ですが、チアノーゼを起こし、意識を失っていきます。 「喉に何か詰まったんですか?」と、意識がある場合はすぐに問いかけて下さい。声が出せなくともうなずくかどうかを観察しましょう。

応急処置の手順は?
 周囲に人がいない場合は、救急車を呼ぶ前に背中をたたき、腹部を押して異物を吐き出させるよう試みます。他に人がいれば救急車を呼ばせ、自身は応急処置を続けます。
・成人の喉づまりの応急処置
 軽い喉づまりの場合は咳を続けて異物が出るよう促しながら、症状が悪化しないかチェックし続けます。
 重度の喉づまりの場合、意識があるなら背中側に立ち片手で相手の胸を支えて前かがみにさせて異物が気道に落ち込むのを防ぎ、もう一方の手で肩甲骨の間を最大5回まで強く叩き、異物が吐き出されたか確かめます。うまくいかない場合は背後からお腹側に回した拳をもう片方の手でしっかりと握り、ななめ後ろ上方に向けて突き上げる「腹部突き上げ法(ハイムリック法)」を試みます。こちらも5回試します。異物を吐き出すまで、交互に5回づつ続けます。
・意識を失っていたら
 表面が硬い床に横たわらせ速やかに救急車を呼びます。そして脈拍があっても、CPR(心肺蘇生法)を始めます。
・幼児の喉づまりの応急処置
 うまく咳ができるようなら、続けるよう励ましながら状態をチェックし続けます。うまく咳込めなくなったら、周囲に大きな声で助けを求めながら意識レベルをチェックします。意識がある場合は、最大5回まで背中をたたき、続いて胸か腹部を最大5回まで強く押し、異物が吐き出されるまで続けます。
 1歳以下の幼児はあなたが座った状態で膝に載せ、幼児をうつぶせ状態で頭を 低くして異物が自然に吐き出せる体勢にします。片方の腕で下から幼児を支え下顎の両側をつかみ安定させて下さい。ただし、気道がつまっている状態を更に悪化させてしまうので下顎の柔らかい部分を圧迫してはいけません。そして空いている手のひらの付け根で肩甲骨の間を最大5回まで強く叩きます。叩くたびに異物が吐き出されたか確認します。効果が無ければ、もう一度、最大で5回まで同じ動作を繰り返します。
 それでもまだ吐き出さない場合は胸部を手のひらで圧迫します。片方の腕で幼児の背中に沿って支え、手のひらで後頭部を包むようにして仰向けにし腿の上で安定させます。もう一方の手のひらで胸の胸骨下部、胸郭の先端部の剣状突起から指1本分上の位置を最大5回まで圧迫します。CPR(心肺蘇生法)とやり方は同じですが、より強く、しかしゆっくりとしたペースで圧迫します。
・1歳から思春期までの子どもの場合
 小さな子どもなら膝の上に乗せ、それが無理なら前かがみにして後ろから支えて、肩甲骨の間を最大5回まで手のひらの付け根で叩きます。効果がない場合、1歳以上の子どもなら成人と同じく腹部突き上げ法を最大5回まで試します。
 意識を失ったら横たわらせ、大声で助けを呼びます。口を開けて異物が見えないか確かめます。何かあれば一本の指で掻き出せないか試みます。無暗に掻き出そうとしてはいけません。
 うまくいかないときは口から直接人工呼吸を5回し、CPR(心肺蘇生法)を始めます。人工呼吸により胸が上下するかどうかを確かめ、上下しないようなら頭を動かして胸が上下する位置を探ります。




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喉づまりの徴候をはっきりと把握しましょう

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腹部突き上げ法のやり方も知っておきましょう

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一歳以下の赤ちゃんの喉づまりの対処法です

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アイナ先生(アラ・ダマンサラ・メディカルセンター)
外科医として様々な専門外科の分野に携わりつつ、常に救命治療に関わり数多くの命を救ってきた




M・H 2017年8月10日号掲載

 

外傷による出血がある場合の応急処置

ピックアップ

 ケガによる出血は誰にとっても痛ましく、ぞっとする体験です。大量の失血は素早い応急処置が取られないならショック状態を引き起こし、生命の危機にもつながります。

 ショック状態になると、体組織と細胞に充分な酸素が行き渡らなくなり、正常に働くなり、脳や心臓などの重要な器官にダメージが及びます。ショック症状の進行を抑えることは、命を救うことにつながります。

 出血は切り傷や様々な事故、或いは鼻血により引き起こされます。傷口の開いた外傷には感染のリスクもあります。手を洗浄してから傷口を減菌布または医療用手袋で感染を防ぐようにします。鼻血や口内の出血は呼吸困難を引き起こす可能性がありますから、速やかな治療が必要です。

どうすれば良いの?
 最優先は出血を止めることです。でも先ずはゴム手袋を付けることをお勧めします。これは予期せぬ感染からあなたご自身を守る為です。もし傷口が衣類で覆われていたら、その部分を取り除き傷口を露出させます。
 最も容易な止血方法は直接に圧力を加えて血流を止めて出血を抑えます。傷口に異物が観察出来る場合でも取り除いてはいけません。出血を抑えている可能性があるからです。その場合は、傷口の両側から圧力を掛けます。もし、異物が無い場合は直接に傷口を押さえて救援の到着を待ちます。
 もし、蒼ざめる、皮膚が冷たく湿っぽくなる、意識がもうろうとする、めまい、混乱や失神など、ショック症状の兆候が現れたら、患者を横にして頭を低くし足を持ち上げ、脳への血液の流れを多くします。さらに首の周り、胸、脇を締め付ける物を緩めて、患者にコートや毛布を掛けて温め、落ち着かせます。呼吸と脈拍、そして反応があるかを確かめ続けます。
 鼻血の場合も最優先なのは出血を止めることと呼吸が出来るようにする事です。上半身を少しだけ前かがみにして坐らせ、鼻から血液が流れ出るようにします。顔を上に向けさせてはいけません。口を開けて口呼吸するようアドバイスし、鼻の柔らかな部位をつまみ出血を止めます。




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できれば医療用のゴム手袋をして、減菌布で止血してください

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上は向かず、下を向いて止血しましょう

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アイナ先生(アラ・ダマンサラ・メディカルセンター)
外科医として様々な専門外科の分野に携わりつつ、常に救命治療に関わり数多くの命を救ってきた




M・H 2017年8月3日号掲載

 

脳卒中の場合の応急処置

ピックアップ

 脳卒中とは血管が詰まったり、破裂したりして脳への血液供給が妨げられた状態です。酸素が不足すると脳細胞が破壊され、破壊された脳の部位に応じて、長期的な障害が起こります。素早い対応と秒を争う速やかな治療で障害を軽減できます。脳卒中が疑われる場合は「FAST」をチェックしましょう。

救急車の到着する前に心がけることは?
 救急車の到着を待つ間、脳卒中になった人を快適な環境におき、1人にしてはいけません。脈拍、呼吸が正常か、呼びかけに反応するかを常にチェックします。飲食物を与えてはいけません。飲み込むのが困難な可能性が高く、喉を詰まらせ窒息する危険性が高いからです。




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脳卒中が疑われる場合にチェックする「FAST」

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アイナ先生(アラ・ダマンサラ・メディカルセンター)
外科医として様々な専門外科の分野に携わりつつ、常に救命治療に関わり数多くの命を救ってきた




 


アラ・ダマンサラ・メディカルセンター
住所
Lot 2,Jalan Lapangan Terbang Subang,Seksyen U2, 40150 Shah Alam, Selangor(オアシス・インターセクションからスバン空港方面に車で1分。BHPガソリンスタンドをこえた左側)

電話
011-1431 9931(小川)

ウェブサイト
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