テクノロジーを通じて問題解決能力を育むロボット教室『Little Botz』創設者 ロック・カーファイさん

ピックアップ  アトリアショッピングモール3階に、ガラス張りの印象的な一室がある。中では子供たちがコンピューターを見ながらブロックを組み立てている。表札には「リトル・ボッツ・アカデミー」とある。どのような施設かを尋ねたところ、「6歳から12歳の子供たちのロボット作り教室で、マレーシアでは初の試みです」。ぜひ詳細を聞きたいとマネージャーにインタビューを申し込んだところ、「では創設者から話を聞いてください」と、マネージャーが笑顔で指さしたのは、子供たちと一緒に遊ぶ、当年28歳という若い優しげな青年だった。

きっかけは“マレーシアにおける技術の未熟さ”
 「シドニーの大学で工学を学びマレーシアに戻ったところ、あまりの技術の未熟さに驚きを覚え、なんとかしなければと思いましたが、まずは経験を積むためにシンガポールのヒューレット・パッカートへ就職しました」と、創設者のロック・カーファイ氏は語り始める。「あるとき趣味のレゴブロックで車を作っていたところ、突然アイデアがひらめきました」。

ロボット作りを通じて子供の発達を促し、未来の優秀なエンジニアを育てる
 ロボットの仕掛けはいたって簡単(ただしビギナーコース)。①レゴブロックを用いて車を作る。その車の組み立てに際しては、レゴ社が提供するコンピューター用ソフトウェアの指示に従う。②簡単なテクノロジーを搭載する。ロボット作りを楽しみながら、工学への興味を喚起することができるというしくみだ。「甥や姪に試してもらったところ、大興奮で夢中になって作り続けます。行ける!と直感し、HPを退職、3年前に起業しました」とカーファイ氏。「現在の一般的な教育では、“記憶、理解、応用”のみを学び、“分析、評価、創造”という、もっとも大切な部分を学ぶ機会がありません。アカデミーでは、技術を通じて子供の発達を促すための教育プログラムを実践します。結果として未来の優秀なエンジニアが育ってくれれば幸いです」とカーファイ氏は目を輝かせる。

ロボット作りを通じて、なぜ“分析、評価、創造”を学べるか!?
 「例えば手作りのロボット・カーでレースを楽しむとします。ある子供が勝ち、別の子供は負けます。負けた子供は『なぜ負けたのか?』を考えます。スピードが遅かったのか、まっすぐに進まなかったためかと敗因を『分析』します。そして自分のロボットを見直す、つまり『評価』を行います。スピードや進行方向をどのように改善すべきかを理解し、勝つための修正を図ります。“記憶、理解、応用、分析、評価”、これらは“創造”のための礎です。礎ができると『こんなロボットを作ってみたい』とイメージが閃く、つまり“創造”する力が花開くのです。10歳の子供が、盲目の方用の支援ロボット(手袋型のロボットで、手にはめるとセンサー機能により目の前の障害物に反応するというもの)を開発したときにはスタッフ一同驚きました」。また、学校での成績は芳しくないものの、優秀なエンジニアとしての素質が顕著な子供たちもいるという。

プログラムはマラヤ大学との共同開発
 アカデミーではビギナー・コースとアドバンス・コースが用意され、いずれも「基本技術を学び、あとは自由に子供たちが遊びながら模索する」というスタイル。マラヤ大学の教育および工学分野の教授陣の協力を得て作成された独自の教育プログラムに基づき実施・運営。インストラクターは世界の一流大学で工学を学んだ若者、IT専門家、教員経験者で構成されている。

「起業にあたっては、父から猛反対を受けました」
 起業するにあたり不安はなかったのかと尋ねてみた。「不安だらけでした。しかし、もっとも大きな難関は父でした。これまで多大なコストをかけ育てた息子がようやく就職したと安心した途端に『起業したい』と言い出したわけですから当然です。今では良い理解者ですけれどね。当時のガールフレンドが私の夢に心から賛同し、応援してくれたことが大きな支えとなりました。今、彼女は僕の奥さんです」。

将来は日本でも開業したい
 アカデミーは今、ペトロサイエンス(KLCC)でのホリデー・プログラムを任されるなど注目を集め始めている。またロシア、カザフスタンにおいても間もなく同アカデミー海外支店がスタートするという。「日本のロボット工学は世界トップですが、まだこのような教育機関はありません。日本での理解者を得てアカデミーを開きたい、それが今の目標です」。

 マレーシアの未来、そして世界の子供たちにかけるカーファイ氏の期待はどこまでも大きい。

詳細:www.littlebotz.com




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創設者のロック・カーファイ氏
「子供のアイデアは限りなく広がり、驚くものばかり。
一人でも多くの子供に教室を訪れてほしい。
それによって、多くの可能性が生まれます」

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リトル・ボッツ・アカデミー入口

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教室入口は新たな可能性への入り口でもある

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アカデミー教室内の様子

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一人一人に貸与されるキット

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作ったロボット・カーでレースをする子供たち

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レース後、ロボットを修復する子供たち

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「ねえ、うまく動かないんだけど、どうしたらいい?」と
アニキのようなインストラクターに質問する子供たち

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アカデミーに通う子供。
家ではテレビやゲーム遊びばかりしている子供たちが
「創作する喜び」を味わいます。
「ゲームも創るんだよ!」

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3Dプリンターで製作された作品(アドバンスコース)

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アドバンスコースで製作するロボット
(ダンスや相撲をする楽しいロボットたち)

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マクマスター大学(カナダ)工学部で学位取得後、
アカデミーに就職した青年

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アカデミーで提供している「ゲームプログラミング・クラス」の内容を
デモンストレーションしてくれるカーファイ氏。
こちらでは子供たちはゲームも創ります!