アイアンマン・マレーシア年代別カテゴリー優勝 鈴木まさみさん

ピックアップ  世界一過酷な競技と呼ばれるトライアスロン、その最高峰がアイアンマン・トライアスロン。11月14日、ランカウイで開催されたアイアンマン・マレーシアで日本人女性の鈴木まさみ選手が年代別カテゴリー(女性:35-39歳)で優勝。本レースはハワイ島コナで開催される2016年アイアンマン世界選手権の予選会でもあり、鈴木選手はこれで世界大会への切符を見事に獲得!16日、トランジットのためKL国際空港に立ち寄った鈴木選手に南国新聞はインタビューを敢行。通常は窺い知ることのできないトップアスリートとしての貴重なお話を伺いました。

アイアンマン・レースとは
 スイム3.9キロ、バイク180.2キロ、ラン42.2キロ、合計226.3キロを17時間以内に完走しなければならない「鉄人レース」。11時間46分20秒という記録でカテゴリー優勝を果たした鈴木選手。「バイクで途中コースを間違ってしまったので、そのロスはもったいなかったですね」。

暑いレースでは筋肉疲労は少なく、内臓に影響が生じる
 レース2日後にも関わらず、重い荷物を背負い颯爽と到着ロビーに現れた鈴木選手。「暑いレースでは、身体が自然に動きをセーブするので、涼しい環境でのレースよりも筋肉疲労は少なく、今回も足腰にはきていません。その代り内臓にこたえるため、多くの選手が水分補給中に嘔吐するなど、苦しい展開となります」。非常に空腹を感じるレース後でさえ、食事をとることができないとのこと。「幸い私は体調の良し悪しの振れ幅が少ないので、回復も早く助かっています」。

超ワイルドなレースコースに「棄権したい」と感じる選手も!?
 例えばハワイ島コナで開催される世界大会は、道路は完全封鎖の安全重視。ランカウイでは道路規制はなされるものの、「バイク走行中、隣を大型トローリーが駆け抜けて行ったとき、これは練習じゃないよね?レースだよね?と心の中で確認しました」。また、野犬、牛、ダスティーリーフ・モンキー(貴重種!)もコースに現れ、「道路にワニ!(実際はオオトカゲ)棄権したい!」と慌てる選手もいたとか。特に高速で駆け抜けるバイク走行中は、些細なことが命取り。マレーシア在住者にとってはお馴染みの光景も、長時間の集中を要するレース中はレース及び選手心理に多大な影響を与えるもの。その環境下で結果を出した鈴木選手に感服!

出場選手は全員仲間!しかしときどき・・・・・
 トライアスリートは皆、長時間に渡る過酷なレースを共に戦う仲間たち。「確かに全員ライバルですが、問題が生じた際には助け合います。それがトライアスリートです」と爽やかに笑う鈴木選手。ところが今回のレースでは、「バイク中に背後から大声で話しかけてくるなど、相手の集中を乱して自分が上位へ行こうとする選手に悩まされ、集中するのに苦労しました。それも駆け引きなんですけどね」。

世界大会出場権獲得のためには思わぬ落とし穴があった!
 総合上位入賞者やカテゴリー優勝者は自動的に世界大会出場権を獲得できるのかと思ったら落とし穴が!レース翌日に開かれるスロット会議で出場資格者たちの名が3回呼ばれ、そのときにYESと即答せず、即座に大会出場料を支払わなければ出場権は次位の選手に移るとのこと!爆睡して会議に出席しない、クレジットカードの残高不足、身分証明書を携帯していない場合などは即アウト。レース後も緊張が解けません・・・

経験が大きくものを言うレース、それがトライアスロン
 本レースの総合優勝者は37歳のスイス人選手。体力勝負の若者有利な競技ではありません。実際、国体出場経験(2005年)を持つ元ハンドボール選手である鈴木選手はトライアスロン転向後、2009年の初出場以来、国内外のレースで常に上位をキープ、今回晴れて海外レースで念願の初優勝、3年連続世界大会出場権獲得という快挙を遂げています。「今回、道路上にかなりの凹凸が見受けられたため、レース直前、スピードは落ちますがパンク防止のためタイヤの空気圧を少し抜きました。またスイム会場を視察し『胃腸を壊しては大変』と、あえて試泳はせず、出走直前の判断で下痢止めを飲みました」。今回のレースは、「これまでの失敗や経験がすべて生かされたレースでした」。

沿道の子供たちの応援でパワーチャージ
 「マレーシアの子供達は目がキラキラして本当に可愛いですね!ドリンクボトル欲しさに必死で走ってついてくる子供達に、まだドリンクが残っているため渡したくないところでしたが、ついあげちゃいました。また、沿道で応援してくれる子供達とタッチして、沢山パワーをもらいました♪」。

努力は報われるときに報われる
 「努力は裏切りません。例え結果を出したいときに出せなかったとしても、それは“まだそのときじゃない”から。報われるべきときに報われるものです」、と語る福島県の定時制高校教師でもある鈴木選手。世界の第一線で戦う一流アスリートの言葉には重みがあり、そして明るい。優しさと強さ、懐の大きさを強く記者の胸に焼き付け、爽やかな笑顔で手を振り、空港を後にした鈴木選手。これからの活躍に乞うご期待!

トライアスロンの豆知識
 水分や栄養補給が重要であることはもちろん、あまり知られていないのが塩分補給の重要性。「塩分が不足すると痙攣が生じ、体力があったとしても足が前に進みません」。荷物は少ないにこしたことがないこと、また、以前はチューブタイプの味噌を持って走っていたところ、レース中に風で吹っ飛んでしまい、その後のレース展開で苦しんだ経験から、「ミドリ安全の塩熱サプリを使い始めました。効果的ですよ」。




写真
バイクでカーブに差し掛かり、集中する鈴木選手

写真
リラックスしながらも集中を継続させる

写真
苦しい上り坂を駆け上がる鈴木選手

写真
笑顔で最後のラン!11時間超に及ぶレースが間もなく終わる!

写真
海外レースで念願のカテゴリー初優勝!ゴールを切る鈴木選手

写真
モンスターと書かれたパーカーを着る鈴木まさみ選手。
モンスターとは「強いアイアンマン・アスリート」の呼称。
「モンスターになりたいです♪」

写真
汐元選手76歳!
KL空港で鈴木選手の到着を待っているときにお会いしました。
「ハワイ行きの切符は残念ながらとれませんでした。
しかし、体力も脚力も余っているので、日本行きのフライト時間まで、KLを散策してきます」